2015年03月23日

第2期臨床仏教公開講座 第8講開催報告

2015年1月21日、臨床仏教公開講座第8講は心といのちを考える会会長・袴田俊英先生をお招きし、「宗教なき時代に―過疎化・孤立化に向き合う―」というテーマでお話しいただきました。
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秋田県は日本のなかでも、特に高齢化率・自死率が高いことで知られています。袴田先生によると、昭和40年代に1つのターニングポイントがあったのだそうです。「当時、推進された所得倍増計画や農村・家屋の近代化により、それまで共同で行われてきた農作業が効率化され、人々の格差が広がりました。また、都市部への出稼ぎが増え、人々のつながりが薄くなったことで、助け合う社会を失い、自死率が増加する要因となったのではないでしょうか」と、現在起きている社会問題の根源について見解を述べられました。


また、マックス・ウェーバーやジャン・カルバンから、資本主義の成り立ちをひもとくことで、効率性・利益優先の社会が形成されていった過程について説明していただきました。先生は、「アメリカ型資本主義の導入によって、それまで日本では当たり前であった年功序列や終身雇用といった仕組みが排除されていきました」と指摘し、「利益ばかりを追い求める宗教なき資本主義が広がったために、現代のような働きにくく生きづらい社会へとつながったのでは」と考察されました。


先生は最後に、「出家とは深山幽谷で生きるものではない。社会のなかにありながら違う価値観で生きるものである」という言葉を紹介。受講生へ向けて、「経済偏重の現代社会において、社会の価値観とは異なる価値観をもって、苦の問題に向き合ってください」と、仏教者としての心構えを指南いただきました。
posted by 全青協 at 10:26| Comment(0) | 公開講座

2015年03月04日

講師からのご回答【第9講 千石真理 先生】

臨床仏教公開講座では受講者の皆さまからのご質問を募集し、講師の方にご回答をいただいています。
第9講にご出講をいただきました、心身めざめ内観センター主宰・千石真理先生のご回答をご覧下さい。
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【質問1】
終末期の方のケアにあたる際、何ら仏縁のない方や宗教嫌いの方に対しては、どのように接するのがよいのでしょうか。
【回答】
終末期では、疼痛緩和ケアのモルヒネや鎮痛剤の影響で患者さんとのコミュニケーションが取りにくいこともあり、それまで仏縁のない方や、宗教嫌いの方が、終末期で宗教に関心を持たれるということは、極めて起こりにくいことだと思います。宗教アレルギーの方に宗教的なお話を無理にしていくと、心を閉ざされますので、宗教的なことではなく、その方がお話をしたいことである、ご家族のことや、人生のこと、病気のことなど、相手の方が聴いてほしいことを聴かせていただきます。
亡くなっていかれる方への宗教的ケアは遅すぎても、そのご家族は、僧侶が患者さんに関わっている姿を見ておられますので、きっと仏教や僧侶に対する印象が変わることでしょう。ご遺族には、仏教的ケアができるかもしれません。
   

【質問2】
ケアを提供する立場となった場合、セルフケアの仕方についてアドバイスをいただけますでしょうか。また、ケアの現場においてボランティアなどの対等な立場にある場合、互いへのアドバイスや注意の仕方はどのようにするのが望ましいでしょうか。
【回答】
セルフケアとしては、次回私の講座でお話させていただく丹田呼吸法と、日常内観が有効です。呼吸法は、自分で意識してできる唯一の自律神経 コントロール法ですし、内観で得られるきづきは、自分の心にエネルギーを補給するのに役立ちます。短時間で良いですので、この両方を組み合わせて、心身を一緒に、毎日ケアすることが燃え尽きを防ぎます。
現場においてのアドバイス、注意の仕方ですが、まず、相手は自分と同じ方向を見て患者さんをケアする、大切な仲間であるという意識を持つことが大切で、その方向性とは、患者さんに少しでも良いケアを提供することです。例えば、「しなさい」と「しようね」では、目的は同じでも、相手の受け取り方が全く違うように、アドバイスや注意をする際は、同じ内容でも言葉を選んで伝えることで、人間関係が円滑にいくでしょう。
「患者さんのためには、この方法の方が、このような理由で良いと思うの」と具体的に、誰のために何をするのがどのように有効なのかを言葉を選んで伝える工夫をすることで、仲間と良いコミュニケーションを取りながら、より良いケアが提供できます。また、注意やアドバイスをする前に、呼吸法をしておくと、落ち着いて相手に伝えることができます。


【質問3】
病院付きのチャプレンの場合、その活動・行為に対して給与等の勤務体系はどのようなシステムになっているのでしょうか。
【回答】
チャプレンが所属する組織から病院にチャプレンを派遣し、病院から支給される契約金から給与や保険等が提供されるのが一般的だと思います。稀ですが、チャプレンが個人的にクリニックや病院と契約を結び、
給与等を支給されることもあります。
posted by 全青協 at 10:59| Comment(0) | 公開講座

2015年02月12日

第2期臨床仏教公開講座 第7講開催報告

2014年1月7日、臨床仏教公開講座第7講はいのちに向き合う宗教者の会代表・根本紹徹先生をお招きし、「生きるってなんだろう?―若者の悩みに寄り添う仏教―」というテーマでお話しいただきました。


今、インターネット上には、仕事の悩みで死にたいという願望や、孤立して寂しいといった若者たちの辛い気持ちがあふれています。コミュニティを活用しながら、そのような悩みを抱える人たちに寄り添うべく、先生は取り組んでおられます。
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ネット社会について、先生は「趣味・趣向の合う人とつながりやすい反面、考え方の合わない人を排除しようとする傾向があります」と説明し、「若者にとっては、ネット上で都合の良い関係ばかりに慣れてしまうことで、現実の付き合いを切ってしまったり、人とうまくコミュニケーションができないといった悪い影響があるのでは」と警鐘を鳴らしました。


先生が主催しているコミュニティ「一徹ネット」では、支援者・被支援者という枠を取り払い、宗教者や一般の人など、それぞれ違ったスキルや価値観を持つ人が集ってワークを行うそうです。遍在するテーマは“セルフケア”。
「多様な人がつながることで、いろいろな角度から刺激を受けることができます。全ての人たちを仲間として一緒に生き方を問い、答えを見つけていく。そうすることによって、支援者も被支援者も一方的な立場にならずに、無理なく安心して相談できる関係・場ができます」と、その特徴について説明がなされました。


最後に、「自分のことは自分でやるしかないという時代に入ってきています。私たちはしっかりとセルフケアできるよう、学んでいかなければいけません」と先生は述べ、支援者がバーンアウトしないための注意点が説かれました。そして、受講生へ向けて「皆さんのように人のために時間を割いて勉強していこうとする人たちがいることは有難く、とても心強いです。応援しています」という激励のことばとともに、講座を締めくくりました。
posted by 全青協 at 15:38| Comment(0) | 公開講座