2015年04月30日

第2期臨床仏教公開講座 第10講開催報告

2015年2月18日、臨床仏教公開講座第10講は「現代社会における臨床仏教師の使命」と題し、臨床仏教の意味、そして臨床仏教師に求められている役割とその実践について講義が行われました。講師は、神仁 臨床仏教研究所上席研究員です。
rinbutsu2014.2.18b.jpg


まず、神研究員は、2009年に当研究所で実施された「寺院と葬儀に関する一般人の意識調査」をもとに、「約7割の回答者が、“宗教は精神的な拠り所となり、死に直面したときには心の支えになる”という回答が得られている」と説明しました。一方で、「死に直面したとき、お坊さんが心の支えになるか」という問いには7割もの方が否定的な回答をしていることを紹介し、その意識のズレについて「仏教者が今後解消していかなければならないギャップがまさにそこにある」と指摘しました。

当研究所が提唱する「臨床仏教」には、「個の霊的な領域、および人間の生老病死にまつわるさまざまな社会事象における苦悩に向き合う仏教の様態」という概念が含まれています。神研究員は、「お釈迦さまから続く“人々の苦しみに寄り添い共感しようとする”仏教のありようが、今求められているのではないでしょうか」と、見解を述べるとともに、アジアの中でも先進的に「臨床仏教宗教師」によるターミナルケアが行われている台湾における事例を紹介しました。

また、臨床仏教師に求められるものとして「信じる力(信仰・他者と相互の信頼関係)、自分を知る力(自己の内省)、聴く力(傾聴)、寄り添う力、方便の力(対機)」という5つの力を提示しました。神研究員は、臨床仏教師の基本理念として宮沢賢治の『雨ニモマケズ』を引用しながら、「“自分を勘定に入れない”境地を目指すことは、決して華々しいことでも目立つことでもない。一生涯、自らの信に向き合い、学び続けることを前提として、日々精進していただければ」と述べ、本講座を締めくくりました。
posted by 全青協 at 15:00| Comment(0) | 公開講座