2015年01月29日

第2期臨床仏教公開講座 第6講開催報告

2014年12月17日、臨床仏教公開講座第6講はNPO法人 鎌倉てらこや顧問・池田雅之先生をお招きし、「現代版・てらこや教育の実践―お寺と地域の協働の可能性―」というテーマでお話しいただきました。
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「鎌倉てらこや」は2003年に設立され、現在、そのネットワークは「てらこやネットワーク」として北海道から沖縄まで全国各地に拡大しています。キャンプやお寺での生活体験などいろいろなレクリエーションを通し、世代を超えて交流することで、学校教育だけでは学ぶことの難しい「生きる力」を育む学びの場を提供されています。


現代の子どもをとりまく環境について先生は、「日本でかつて、商店のおじさんおばさん、ご近所の方などから子どもに注がれる視線は、時に厳しくもあり、優しく包み込む眼差しがありました。しかし今では、親や先生といった目上からの厳しい眼ばかりが注がれ、子どもたちは自由に個性を伸ばすことが難しいのではないでしょうか」と見解を述べられています。そこで「てらこや」では、かつてのような地域の多様な人々との触れ合いと交流の中で多くの人に見守られて育まれる教育、つまり「複眼の教育」を再生し、現代に即した形での寺子屋教育活動を推進しているとのことです。


先生は最後に、「これからの社会は、仏教界・大学・市民といった3つのセクターが協力して社会貢献活動を行うことで、より良い未来が拓けるのではないでしょうか。76,000ヶ寺といわれる日本の寺院がそれぞれの地域で学校や市民団体と協働し、少しでも住みやすい社会を作っていただければ」と、今後の寺院活動の活性化に期待を寄せられています。
posted by 全青協 at 15:28| Comment(0) | 公開講座

2015年01月15日

第2期臨床仏教公開講座 第5講開催報告

2014年12月3日、臨床仏教公開講座第五講目は自死・自殺に向き合う僧侶の会(以下、僧侶の会)元代表 柳川眞理子先生をお招きし、「安心して悩める社会を―仏教者の自死防止ネットワーク―」というテーマでお話いただきました。
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日本は世界と比較しても自殺率が非常に高く、年間自死者数は3万人弱と、未だ高い水準で推移しています。人々はなぜ追い詰められてしまうのでしょうか。また、遺族はどんな思いを抱えているのでしょうか。


先生は自死の原因について、「個人に多くの苦悩をいくつも背負わせる日本の社会的構造に問題があるのではないでしょうか」という、ある僧侶の言葉を挙げ、「死にたくて自殺するのではなく、生きることが死ぬことよりも辛く、自死を選択せざるをえない状態なのではないでしょうか」と指摘されました。
内閣府から出されている自殺対策白書(平成24年版)によると、自死の原因は「老後の生活設計」、「健康問題」、「金銭問題」、そして、「人間関係の問題」の順に多く、年代として一番多いのは60代の男性なのだそうです。仕事一筋に生きてきた方は、定年によって生きがいであった仕事を失うことになります。さらに、それまで家庭を顧みなかった方であれば、帰るべき居場所をなくすといった負の連鎖が起こり、自死へと追い込まれてしまうのではと見解を述べられました。


世間には自死=悪と見る風潮があり、自死遺族のなかには「自死した者は成仏できない」と菩提寺の僧侶から言われ、深く傷付き、寺院へ行くことができなくなったという方もいるそうです。
自死遺族はそういった世間の偏見や自責の念から、からだの変化(不眠や食欲の低下など)、行動の変化(電話が怖くなったり人と会うのを避けるようになる)、こころの変化(いらいらや不安を強く感じるようになる)といった様々な変化を生じるようになり、孤立化していくなかで苦しみからご自身も後を追いたくなるという方も多いそうです。


僧侶の会では、仏様や教義に全て頼るのではなく、メンバーはそれぞれ「私自身」の問題として向き合い、自利利他の精神で共に救われていくことを心に留めて活動を行っていると先生はいいます。この活動は人助けや勉強が目的では到底続けられるものではなく、皆苦しみを共有しながら、信仰・信心をベースに人々に寄り添っているのだそうです。
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講座の終盤では、僧侶の会で行われている手紙相談を模して、「往復書簡」体験を行いました。相談の手紙に対して受講生がペアとなり協力しながら、手紙を書き上げるというワークを通して、受講生のひとりひとりが実際に問題に向き合うことができ、会場全体からも一体感が出てきたように感じられました。
posted by 全青協 at 12:11| Comment(0) | 公開講座