2014年11月28日

第2期臨床仏教公開講座 第3講開催報告

2014年11月5日、臨床仏教公開講座第三講目は立正佼成会附属病院 緩和ケア科に所属されている林茂一郎先生をお招きし、「旅のおわりに―医療者が語るターミナルケア」というテーマでお話いただきました。
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日本ではまだホスピス病棟は少なく、世間の理解も浸透していません。そのため、ホスピスに対して「死に逝く場所」というイメージを持っている方も多いそうです。
実際、ホスピスとはどの様な場所なのでしょうか。林先生のお話によると「不快な症状(痛み・不安)を取り除き、患者さんが自らを見つめ直しながら、最期までの生き方を考えるための緩和治療を施す施設」のことを指すそうです。また、ホスピスケアの診療では、「患者さんの意思を尊重し、死を早めることも遅らせることもせず、患者さんとその家族の支えとなるように援助することを指針としています」と、ご説明いただきました。


近年まで、医師や患者さんのご家族は病気を治すことばかりに集中してしまい、患者さん自身の思いは置き去りにされてしまう傾向があったと先生はいいます。その点に対し、東京慈恵会医科大学創設者・高木兼寛氏の「病気を診ずして、病人を診よ」という言葉を挙げ、「決して患者さんを孤立させることなく、医師・家族共に責任を持って、患者さん自身の思いに寄り添いながら支えていくことが大事です」と緩和ケアのメソッドを述べられました。


先生の、「医者は処方箋を書くことができますが、心の処方箋は書くことができません。仏教者の方々の活躍を期待しています」「日本にも初七日法要や灯篭流しなど、元々大切にしていたグリーフケアがあります。今一度、伝統的な慣習をしっかりと思い出すべきです」というお言葉に、臨床仏教の意義を再確認された方も多かったのではないでしょうか。
posted by 全青協 at 12:20| Comment(0) | 公開講座

2014年11月11日

第2期臨床仏教公開講座 第2講開催報告

2014年10月29日、臨床仏教公開講座第二講目は金田諦應先生をお招きし、『こころを聴く―「カフェ・デ・モンク」の活動―』というテーマでお話いただきました。
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東日本大震災後、炊き出しなどの支援活動を行っていた先生は、ある避難所で、引き上げようとする「国境なき医師団」とそれを止める被災者のやりとりを目の当たりにし、「宗教者の役割」について自問したそうです。そのことがきっかけとなり、被災された方々がホッと落ち着いて、安心して泣いたり笑ったりできるような場所を提供すべく、「移動傾聴喫茶カフェ・デ・モンク」(“「Monk」は英語でお坊さんの意味で、お坊さんがそれぞれの「文句」を聴きながら一緒に「悶苦」します”というコンセプト)の活動がスタートしたといいます。
人の来ない日も「この場所にいることが大事」と自ら言い聞かせ、「苦しいとき辛い場所にこそ遊び心を忘れずに」という信念を持って活動を続けるうちに、次第に多くの人が参加するようになったと、先生は温かい笑顔で語られました。


一方、震災後の惨状を目の当たりにしたとき、「それまで学んできた教理・宗教的言語が崩れ、被災地では宗教・宗派・教義は意味がないと感じました」と、先生は述べられました。しかし、「他を思う心(慈悲)が原動力となって支援に取り組み、活動を通して戒律が心の底から湧きあがる」というプロセスによって、仏教者としての価値観を再構築していったそうです。


先生は傾聴活動について、「相手の物語(人生)を無心に聴き、こちらから答えを出さずにじっくりと相手の内なる答えを待つこと。そして、動き始めた物語を後押しすることです」と説かれました。さらに、「人は物語を創造する能力と、永遠なるものや絶対なるものとつながる精神性があります。相手の物語を認めて、共にサポートしてあげることが重要です」と、傾聴の方途をご自身の経験を交えてお話いただきました。
posted by 全青協 at 18:24| Comment(0) | 公開講座

2014年11月07日

講師からのご回答【第1講 島薗 進 先生】

臨床仏教公開講座では受講者の皆さまからのご質問を募集し、講師の方にご回答をいただいています。
第1講にご出講をいただきました、上智大学グリーフケア研究所所長・島薗進先生のご回答をご覧下さい。
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【質問1】
宗教間で、普遍的な死生観というものはあるのでしょうか。
【回答】
「普遍的」というのは「すべての宗教にある」というのではなく、「ほとんどの」とか「おおかたの」という意味であるとすれば、死生観のある部分は普遍的といってもよいのではないかと思います。「いのちをめぐみとして、それに感謝する」という特徴です。

【質問2】
日本人の死生観について、外国人の死生観との比較がなされているようでしたらご紹介いただけますでしょうか。
【回答】
「外国人」というのがどの国の人を指すのかで異なりますが、西洋との比較では、鯖田豊之『火葬の文化』(新潮社)は代表的なもののひとつでしょう。儒教や仏教の影響を考え、アジアの外国と比較するという点では、加地伸行『儒教とは何か』(中央公論社)、橋本峰雄『「うき世」の思想』(講談社)などが役立ちます。


【質問3】
直葬や散骨、簡素化された葬儀などを望む人が増えてきましたが、それに関してはどのようにお考えでしょうか。
【回答】
葬祭の簡略化が進む傾向、また寺院の檀家としての意識が低下する傾向が進んでいます。大都市ではどうしてもそうなります。また、世代を超えた家族の連続性の意識が弱まっていく傾向もとどめがたいところがあります。葬祭だけで人々との接点を求めていこうとすると寺院としては辛いという時代が近づいていると言えるかもしれません。
posted by 全青協 at 14:40| Comment(0) | 公開講座