2014年10月31日

第2期臨床仏教公開講座 初回開催報告

2014年10月15日、大正大学を会場に第2期臨床仏教公開講座がスタートしました。お申込みをいただいた受講生は、首都圏近郊だけでなく四国や九州といった遠方より参加している方もおられるようです。
本講座の初回は、上智大学グリーフケア研究所所長の島薗進先生を講師にお迎えし、「日本人の死生観―死の虚無と向き合う―」というテーマでお話いただきました。
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冒頭では、医療界の近況として「近年、特に東日本大震災以降、心に寄り添う形でのケアの需要が高まっています。病院においても患者さんに対する取り組み方を見直し始めており、海外のようにチャプレン制度の導入など、新しい展開が期待できます」と島薗先生は述べ、苦しむ人へ寄り添おうとする仏教者への期待などを語られました。


「死生観」という言葉は、自由民権運動の理論家として知られる中江兆民の唯物論思想や、煩悶青年(人生の価値を模索し、思い悩む青年)という言葉が流行する発端となる旧制一高生・藤村操の哲学的自殺などの影響を受け、1904年に加藤咄堂著『死生観』に初めて登場したそうです。


また、戦中から戦後にかけて、死の虚無と向き合い、深くつきつめた人物として戦艦大和元乗組員・吉田満の著書を先生よりご紹介いただきました。日本の敗北がほぼ決した中、特攻作戦で死ぬことに納得できない若者と、君国のために命を捨てようとする将校の論戦など、艦上で吉田満が実際に体験したエピソードは、当時の死生観を色濃く物語っているとのことです。


戦前〜戦後の文学から死生観を辿ることで、日本人の心の底にある生や死に対する捉え方の変遷を学び、今後、相手の心に寄り添っていくための布石となったように思われました。受講生からは「大きな収穫を得ることができた」という声が寄せられています。
posted by 全青協 at 11:53| Comment(0) | 公開講座